これが沖縄の真実だ

このブログは、在日米軍基地を過重に負担させられている沖縄の現状を伝える「オスプレイ不安クラブ」が開設しました。

沖縄の政治家へ捧ぐ・沖縄県民からの提言: 「軍隊を抱えるリスク」を説明せよ!

2017年10月22日、この日は第48回衆議院議員総選挙の投開票日であったが、宮古島市では、市議会議員選挙の日でもあった。

沖縄タイムスは市議選当選者に対し、宮古島への陸上自衛隊配備に対する考えを問うた。その結果、当選した24人のうち、14人が「賛成」と答えている。

 

沖縄タイムス自衛隊配備に賛成14人、反対5人 宮古島市議当選者
2017年10月30日
07:50

沖縄県宮古島への陸上自衛隊配備について、本紙調査で22日投開票の市議選当選者24人の賛否は、「賛成」が14人、「反対」5人、「どちらでもない」が5人となった。与党は16人中12人が「賛成」で残る4人は「どちらでもない」とのスタンスで判断が分かれている。一方、野党は5人全員が「反対」とした。中立3人は「賛成」が2人、「どちらでもない」が1人。

 

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陸上自衛隊配備に対する市議当選者のスタンス

 

   市議選には与党17人、野党10人、中立6人が立候補。「賛成」の候補は「隣国の脅威に備えるため防衛上必要」、「反対」の候補は「有事に標的となり攻撃される」などの理由を挙げた。一方、「どちらでもない」とした候補は、配備の必要性に理解を示しつつも「住民の合意が得られていない」などと回答した。
 防衛省は18年度、千代田カントリークラブ地区に警備部隊380人の配備を予定している。隊庁舎は同地区に建設する一方で、弾薬庫や射撃訓練場などは地元住民からの反発が強いとして市内の別の用地への建設を予定している。
 同省は市城辺保良(ぼら)の採石場「保良鉱山」を有力な候補地として検討しており、今後具体的な交渉が始まるとみられる。

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この結果は、何を意味するのか。それは、宮古島市議の大半が「軍隊を抱えるリスク」を理解していないということであり、彼らに票を投じた宮古島市民が「軍隊を抱えるリスク」を知らないということである。

 

沖縄戦で米軍は、宮古島への上陸作戦を中止している。それにより、宮古島の住民は地上戦を経験していない。

しかし、約3万の日本兵が駐留していたことで、連合軍による「大規模な空襲、艦砲射撃を受けた経験」はあるのだ。

 

総務省】 宮古島市(旧平良市)における戦災の状況(沖縄県

1.空襲等の概況

   昭和19(1944)年10月10日午前7時30分、宮古島南方上空に見馴れない機影が編隊を組んで現れた。秋晴れの平良町上空でそれは東西に分かれ、飛行場方面と漲水港へ急降下する。間もなくサイレンが鳴り銃撃音、爆撃音がこだまして対空砲が応戦しても、友軍機の演習が実戦さながらに行われていると多くの町民が空を見上げていた。飛行場の方面から黒煙が舞い上がり、"銀翼連ねて"宮古島の空を守るはずの"荒鷲"が燃え上がるのを見て、ようやく本物の空襲であることを知った。45分に及ぶ空襲で、島の3カ所の軍用飛行場からは応戦に飛び立つこともなく9機が撃破された。

 続いて午後2時5分第2波、延べ19機による空襲で、漲水港沖合に停泊中の広田丸(2,211トン)が撃沈されるのを目の当たりに見せつけられた。この「10・10空襲」を皮切りに宮古島は連日のように米軍機の空襲にさらされ、瓦礫の島へと化していった

 昭和20(1945)年になり、3月までの宮古島の空襲は、主に軍事目標が狙われていたが、4月に入ると次第に市街地が狙われていく。時限爆弾や街を焼き尽くす焼夷弾も用いられるようになり、平良の街は廃墟と化した。

 5月に入ると、爆撃が連日続くようになる。陸軍の特攻作戦が本格化するのに伴い、その中継基地としての宮古島は狙うに値するものとなった。5月4日、宮古島は飛行場を中心に猛烈な艦砲射撃が浴びせられた。郡民の恐怖は上陸作戦があると流布されるに及び、宮古島全体は混乱に巻き込まれた。

 宮古には米軍の上陸こそなかったものの、相次ぐ爆撃に加え、食糧難からくる栄養失調、非衛生的な壕生活を強いられる中で風土病マラリアが流行し、病死者が続出した。

 

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<爆撃を受ける平良の軍事施設>

総務省|一般戦災死没者の追悼|宮古島市(旧平良市)における戦災の状況(沖縄県) 

 

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ』といわれるが、自衛隊を誘致したい、自衛隊の配備に賛成、容認する、という政治家や彼らに票を投じた住民は、「大規模な空襲、艦砲射撃を受けた経験」からも、沖縄戦という歴史からも、学ぶことができないような 愚者以下 である。

 

沖縄タイムスの調査で陸上自衛隊配備に賛成と答えた「愚者以下」な市議14人は、その理由を『隣国の脅威に備えるため防衛上必要』だと答えている。

沖縄戦という歴史の一部からも、宮古島が受けた空襲、艦砲射撃からも学ぶことができない者たちが、よくも『防衛上必要』などと言えたものだ。

彼らが『防衛上必要』だと言うならば、なぜ宮古島自衛隊の配備が必要なのか、を住民に必要性をきちんと説明する義務がある。と同時に、「軍隊を抱えるリスク」についても説明せねばならない。防衛上の必要性を説明できない、軍隊と共存するリスクがわからないのであれば、安易に「賛成」などと口にするべきではない。

有事の際、先島諸島に配置された自衛隊に島民を守る余裕はない。彼らの任務は、島民以外の別の「もの、人、場所」を守ること、なのだ。

 

日本国が守りたい「もの、人、場所」とは何だろうか

 

大日本帝国だった時代の日本国が重視したのは、神である天皇、皇族、それらを支える天皇制の存命であった。それは、今も同じだと考えていい。

天皇がいる首都東京、日本国民の政治・経済が集中する首都東京は、地政学的にみても隣国との国境線から最も遠い場所にある。

逆に、日本国にとって隣国と近い場所はというと、南西諸島の島々や九州、中国地方、東北地方、北海道というこになる。

日本国が『防衛上必要』とする先島諸島自衛隊配備とは、本土、特に首都東京を守るための配備であるが、先島諸島は、政治的な理由で空白地帯になっていた地域だ。

『棚上げ』したはずの尖閣諸島問題が再燃し、中国が大国に見合った軍事力を保持しはじめたいま、日本政府は、それらを理由に空白地帯をなくすという作業を加速化している。

従って、宮古島市議で陸上自衛隊の配備に賛成する14人は、宮古島の住民に対し以下を正直に伝え、リスクを覚悟してもらうべきである。

 

宮古島を含む先島諸島への自衛隊配備は、島民を守るためではなく、日本国の首都東京を守るためである。

宮古島を含む先島諸島の陸地部分に自衛隊を配備するということは、有事の際は、敵国から自衛隊基地が狙われるということである。

宮古島を含む先島諸島の住民は、有事の際、災害時のように自衛隊を頼ることはできない。自給自足で頑張る必要がある。

 

宮古島市議14人が住民が暮らす宮古島に「警備隊」という名の自衛隊を置き、敵を「迎え討つ」ことが国防だと考えているならば、彼らは軍隊と警察を混同してしまっている。

お花畑に住む平和ボケの皆さん」と発言した、石垣市の石垣亨市議よ。軍隊と警察の違いさえわからない者たちが「お花畑に住む平和ボケの皆さん」なのである。わかったか!

 

沖縄県島嶼県だ。
かろうじて陸続きとなっているのは、島と島に橋が架かっている地域だけである。

各島々の住民たちは、台風が来襲するたびに自分たちだけで「リスク」を乗り切る必要がある。海が荒れている状況では、物資を運ぶ貨物船が入港しない。食料品不足に陥る「リスク」は、毎度のことである。

台風は数日で通過するが、ひとたび有事になれば、海上は長い間、封鎖される。海、空を行き来できるのは、制空権、制海権を取った側だけである。それが、日本と同盟を結ぶ米国であるという保証はない。

もし、米国、または日本の友好国が制空権、制海権を取れなかった場合、島々への物資輸送は至難の技となる。沖縄戦で物資が不足した、住民が食糧難に陥ったのも、敵国が制空権、制海権を取っていたからである。しかも、沖縄戦中の宮古島は、農作に適した平坦な土地を日本軍に占領され、食糧難を経験している。

もう一度言う。そんな経験から学ぶことができない者たちは、愚者以下である。

 

総務省宮古島市(旧平良市)における戦災の状況(沖縄県

2.市民生活の状況

   防衛担当軍の視察で「宮古島は、島全体が平坦で起伏に乏しく、航空基地として最適である」と判断された宮古島には、3カ所の飛行場が建設された。土地の接収は買収の形で半強制的に行われたが、土地代は公債で支払われたり、強制的に貯金させられ、しかもこの公債や貯金は凍結されて地代は空手形であった。飛行場建設には島民の多数の老若男女や児童までも動員され、昼夜を問わない突貫作業が強行された。

 昭和19(1944)年12月までに3万人の陸海軍人が宮古島にひしめいた急激な人口増加に加えて、平坦な地形を持つ農耕地は飛行場用地として接収され、甘藷、野菜などの植え付け面積は大きく削られた。「10・10空襲」のころから海上輸送は困難になり、軍部は残された農地を軍要員自給用農地としてさらに接収した。当初は現金による契約など一見合法的な動きがあったが、自分の所有する畑に、ある日突然"軍用農地"の看板が立てられ、入れなくなるという事態も起きた。いつ飛来するか分からない空襲に備えて、炊事のための焚煙は夜間だけに制限され、燈火管制下の平良町は夜ともなれば文字通り暗黒の町となった。

 戦況が悪化するにつれ、宮古島では食糧不足が深刻化し、慢性の栄養失調は郡民の体力衰弱となり、マラリアの蔓延を来す。物資不足の中で衣類は米穀用麻袋がその材料となる。予告なき襲撃の前に脱衣して水浴することも人々の生活から失われ、空襲におびえるなかでシラミとの闘いも始まる。昼間の作業は死につながるようになり、月明かりなどで植え付けていた甘藷も照明弾投下の夜間空襲が始まるなかで食糧自給の道も閉ざされてくる。備蓄した非常食が底をつき、掘り残されて土中で芽を出した"草のいも"を掘り、処理を誤ると中毒死につながる蘇鉄採りが始まる。生と死が隣り合わせる「もう一つの戦争」に宮古島は巻き込まれていった。

 

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宮古島地区防禦配備図>

総務省|一般戦災死没者の追悼|宮古島市(旧平良市)における戦災の状況(沖縄県)

 

『腹が減っては戦はできぬ』のは、古今東西、いつでも、どこでもそうである。

沖縄戦中、宮古島にいた3万という兵力を維持するためには、住民が食糧を諦める必要があった。日本軍の作戦に邪魔とならぬよう、敵に制海権を握られたままで疎開する必要があった。

宮古島に限らず、日本軍が駐留した沖縄県の島々の住民は、自らの食糧を、土地を、命を、「お国のため」に提供せねばならなかった

 

これが、日本国の「防衛」の姿である。

 

もし、日本政府が本気で「宮古島の住民を隣国の脅威から守りたい」と考えるならば、「宮古島から遠く離れた場所であるが、隣国との国境線に近い場所」でやる必要がある。島国である日本国の場合、隣国との国境は、住民が暮らす島々の内陸部ではなく、海上であるはずだ。

米国は、それをわかりやすい形で実践しているので、説明する。

 

米国は、北アメリカ大陸から遠く離れた日本や韓国に自国軍を置いているが、それは、北朝鮮との戦争が停戦状態にあるからだが、北朝鮮やアジア太平洋地域の国々から北アメリカ大陸で暮らす米国民を守るための措置でもある。

そして、朝鮮半島という前線に配置された在韓米軍を支援するのが、後方に置かれた在日米軍である。

その在日米軍は、南西諸島の島々や九州、中国地方に多くの戦闘部隊を置いているが、その在日米軍の司令部は東京にあり、第7艦隊の司令部は横須賀にある。日本においては、関東地方が日本の隣国から一番遠い場所であり、それは日本国が敷く防衛網と重なる。

しかし、米国の場合は関東地方で終わらない。

在日米軍の後方にはグアムに駐留する米軍と施設、さらにその後方にはハワイに駐留する米軍と施設…というように、アジア太平洋地域の脅威(または仮想敵国)から米国本土を守るため、二重(日本)、三重(グアム)、四重(ハワイ)の防衛網を敷いている。

 

米国民の大半が住む北アメリカ大陸ハワイ州内の島々の領海内、領土内だけで米国の「防衛」ができるならば、世界中に米軍を置く必要は無い。

同盟国への責任だとか、世界の警察だとか、そんなのは、米軍の駐留を受け入れている国々の国民を誤魔化すための言葉でしかない。

全てはアメリカ・ファースト、米国と米国民の繁栄を維持するためである。

南西諸島が日本本土、特に首都東京を守るための盾にされているように、日本国は米国本土を守るための盾でしかないのだ。

 

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歴史や経験から学ぶことができない「愚者以下」な宮古島市の市議、14人よ。

宮古島の住民を本土防衛、特に首都東京の「盾」として差し出し、陸上自衛隊宮古島配備に「賛成」するならば、一票を投じた宮古島市民に対し、

軍隊を抱えるリスク」を説明せよ!

 

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【今回の提言:「軍隊を抱えるリスクを説明せよ!」のまとめ】

宮古島市議で陸上自衛隊配備に賛成する者たち、彼らに票を投じた市民は、歴史からも経験からも学ぶことができないような「愚者以下」である。

● 日本国や在日米軍が守りたい「もの、人、場所」は日本国と隣国の国境線から一番遠い関東地方、または、はるか以東(アメリカ合衆国)にある。

● 「軍隊を抱えるリスク」には、住民が敵国の攻撃を受けるリスク、物資並びに食糧難に陥るリスク、有事の際には、住民よりも軍隊が優先されるというリスク、軍隊に頼れないというリスク、軍隊に尽くすというリスク、などがある。