これが沖縄の真実だ

このブログは、在日米軍基地を過重に負担させられている沖縄の現状を伝える「オスプレイ不安クラブ」が開設しました。

在日米海兵隊の公式サイト(日本語版)を検証する ② そもそも「雇用主」とは誰なのか

f:id:truthaboutokinawa:20170929063937j:plain在日米海兵隊ホームページ

 

在日米海兵隊は日本語版の公式サイトを設け運用している。

 

そのこと自体は何ら問題はないが、

公式サイトで 印象操作 をしているとなれば、大問題 だ。

 

日本国民は、在日米軍の駐留経費、いわゆる「思いやり予算」を負担しているにもかかわらず、在日米海兵隊がばら撒く「印象操作ではないか?」と思われても仕方のない情報を鵜呑みにしている。これは、由々しき事態だ。

 

そこで、オスプレイ不安クラブは、在日米海兵隊の日本語版公式サイトに掲載された情報を検証してみることにした。

 

以下は第1回のまとめとリンク。「在沖縄米軍または在沖米軍」という言葉の意味と使われ方に関し、検証してみた。

 

【検証 ①】『在沖米軍』という幽霊組織 のまとめ

● 在日米海兵隊は日本語版公式サイトにおいて、沖縄にもたらす経済効果はアピールするも、日本本土で米軍を抱えている自治体にもたらされている経済効果はアピールしない。

●「在沖米軍」とは、沖縄に駐留する米陸軍、米海軍、米空軍、米海兵隊の四軍の総称であり、在沖米軍という組織は存在しないにもかかわらず、在日米海兵隊は「在沖縄米軍」という言葉を使っている。

 

truthaboutokinawa.hatenablog.com

 

今回は、在日米海兵隊の『米軍は沖縄県内において、沖縄県庁に次ぐ2番目に大きな雇用主です。』という主張を検証してみる。

 

【検証 ②-】 『米軍は…2番目に大きな雇用主です』の謎

在日米海兵隊の公式サイト(日本語版)にある『在沖縄米軍がもたらす経済効果』のページには、『米軍による県内雇用』という項目がある。それによると、『平成26年12月末日現在、沖縄県内における米軍施設で雇用されている沖縄県民は総勢8,600人です。米軍は沖縄県内において、沖縄県庁に次ぐ2番目に大きな雇用主です。』とのことだ。(2017年9月29日現在)

 

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在沖縄米軍の地域にもたらす経済効果

 

沖縄県には東京、大阪、名古屋、福岡といった大都市に本社を置くような、数千人、数万人規模の社員を抱える「大企業」は、ないに等しい。県民人口に比べて地方公務員の数が多いのは、島嶼沖縄県は小さな島々から成る県であり、本土の都道府県のように大部分が陸続きというわけではない)であるがゆえ。沖縄県の労働環境は、本土とは違う特徴を持つものだ。

 

しかし、中小企業や個人事業者といった形で、沖縄の経済や雇用に貢献している事業所は数多くあるはずだ。そこで、沖縄に一体どれくらいの事業所があるのかを調べてみた。

 

沖縄県企画部統計課 商工統計班が『経済センサス』をまとめているので、それを見てみよう。

 

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経済センサス

 

そこに掲載されている『沖縄県の民営事業所の結果(確報)』の『事業所数及び男女別従業者数(県計、市町村別)』によると、沖縄県の事業所数は、平成26年には68,117社あったとのことだ。数千人の従業員を抱える大企業・大雇用主ではないが、沖縄県の雇用や経済に大きく貢献している事業所が6万8千以上あるのがわかった!

 

それらの事業所で雇用されている労働者は543,072人である。その数は、「公務を除く」とあるため、国家及び地方公務員を含めると、沖縄県全体の労働者数は、それ以上ということになる。

 

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http://www.pref.okinawa.jp/toukeika/econ_cencus/2014/hyou1.xlsx

 

そこで、沖縄県全体の労働人口がどれくらいあるのか、別のデータを探してみた。

沖縄県のウェブサイトに『完全失業率の状況(出典:「労働力調査」/全国:総務省統計局発表、沖縄:沖縄県企画部発表)』が掲載されている。

在日米海兵隊は、『平成26年12月末日現在』の沖縄における日本人従業員数を出しているので、こちらも平成26年12月時点の数字を見ることにした。

 

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平成26年12月の雇用状況/沖縄県

 

掲載された説明文によると、平成26年12月の時点での沖縄県の『労働力人口は685千人』としている。685千人とは、68万5千人ということである。

 

さて、そんな沖縄県で『米軍は沖縄県内において、沖縄県庁に次ぐ2番目に大きな雇用主です。』と主張する在日米海兵隊が示した雇用者数は『8,600名』である。

 

平成26年12月の時点で沖縄県の労働者数が約68万5千人であるならば、米軍に雇用されている約8,600人は、率にして全体の約1.26%に過ぎない。残り98.74%の労働者は、沖縄に駐留する米軍に直接頼ることなく働いているわけだ。

 

沖縄に駐留する米軍人の数は、およそ25,000人といわれている。その約25,000人の米軍人の「お世話」をするために、約8,600人の沖縄県(沖縄にある米軍基地で働きたいために、わざわざ本土から沖縄に移住して沖縄県民となった人びとも含む)日本国民の血税で働いている、ことになる。

 

すると、沖縄県内にある米軍基地で働く労働者1人が平成26年に「お世話」した米軍人は、単純計算で約2.9人となる。1人で2.9人。米軍人の奥さま(または旦那さま)、お子さまを合わせると、約50,000人の米軍関係者を「お世話」していることになり、それでも1人で5.8人という計算になる。実に、至れり尽くせりだ。

 

日本国の看護師1人が受け持つ患者数は、医療施設によって異なるとのことだが、平均で7〜10人らしい。場合によっては、13〜15人になるとのことだ。日本国民は、どこに血税が使われるべきなのか、真面目に考える必要がある。

 

と、ここまでは、労働者数に関する検証。ここからは、「雇用主」について検証してみる。

 

すでに 【検証 ①】で指摘したが、「在沖米軍」とは、沖縄に駐留する米陸軍、米海軍、米空軍、米海兵隊の四軍をまとめた総称であり、「在沖米軍」という組織は存在しない。在日米海兵隊は、別々の運用がなされている組織の施設で働く日本人労働者数を合算して発表し、『米軍は沖縄県内において、沖縄県庁に次ぐ2番目に大きな雇用主です。』と主張しているのは、不可思議である。

 

「米軍は米軍なのだから、いいんじゃないの?」と考えるのは、間違いである。

 

在日米陸軍のために働く日本人従業員が、在日米海兵隊で働くために異動させられる、配置換えになることはない。全く別の組織なのだから、当たり前のことだ。別の米軍隊下で働きたいとしたら、いまの雇用契約を一旦終了し、再度応募する必要がある。

 

そういう状況下の日本人従業員を「同じ米軍なんだから合算しても問題ない」と考えるのであれば、会社が違うスーパーの従業員を合算することに問題ないと考えるのか、ってこと。

 

例えば、沖縄県にあるサンエー、かねひで、イオン、ユニオンというスーパーの従業員数を、「同じスーパーなんだから合算しても問題ない」と言うのか?、って話。

 

そんなのは、どう考えてもおかしいし、米軍だからオッケー!ではないことに、日本国民は気付くべきだ。

 

さて、その「米軍」だが、はたして米軍は、米軍基地で働く日本人の「雇用主」なのだろうか

 

いや、違う。

 

沖縄に限らず、日本にある米軍基地で働く人たち

本当の雇用主 は、日本政府 である。米軍ではない。

 

その雇用主である日本政府は、『独立行政法人 駐留軍労働者等労務管理機構(エルモ)』に労働者の確保や労務管理などの業務を委託している。

 

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独立行政法人 駐留軍等労働者労務管理機構

 

エルモは、在日米軍基地で働くことを希望する日本人を募集し、採用した労働者を「在日米軍」に「派遣」しているのである。そのエルモのウェブサイトには、「求人情報」というメニューがある。そこを選択すると『在日米軍従業員募集案内パンフレット』という項目があり、PDF文書で保存されたパンフレットが掲載されている。

パンフレットの3ページ、『在日米軍従業員の位置付け』は、以下の通りである。

 

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独立行政法人 駐留軍等労働者労務管理機構|求人情報[在日米軍従業員募集案内パンフレット]

 

このパンフレットの説明文には、『在日米軍従業員は、国(防衛大臣)に雇用されますが、使用者は在日米軍となっています。』とある。

 

また、図で示されているように、在日米軍従業員に対する「労働契約の締結・給与の支払等」を行なっているのが日本政府で、「労務管理・給与・福利厚生」を行なっているのはエルモであり、在日米軍が行なっているのは「監督・指導・訓練等」である。

 

日本国の派遣会社や派遣労働者からすると、「な〜んだ、在日米軍は〝派遣先〟みたいなもんじゃないか!」ってことになる。ま、給与や待遇は、一般の派遣労働者とは比べものにならないだろうが…。

 

在日米軍の施設で働く人たちに直接給与を支払っているわけでもない在日米海兵隊が、自らを含む米軍を『雇用主』という言葉で表現しているのは、大きな誤りであることを指摘しておく。

 

【今回のまとめ】

沖縄県における米軍基地従業員は、沖縄県全体の労働者数の約1.26%に過ぎない。

在日米軍基地で働く日本人従業員の雇用主は日本国の防衛大臣であり、米軍ではない。従って、在日米海兵隊が『米軍は沖縄県内において、沖縄県庁に次ぐ2番目に大きな雇用主です。』と主張するのは、大きな誤りである。

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次回は、在日米海兵隊が主張する『借地料』について、検証してみる。

 

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普天間飛行場の日本人従業員は14年3月末現在で204人で、宜野湾市の従業者数3万3821人の約0・6%だ。一方で同飛行場は市面積の4分の1を占める。

ryukyushimpo.jp

 

沖縄の米軍基地で働く日本人「平均年収300万円」は県民平均年収よりも低い。

uyouyomuseum.hatenadiary.jp

 

米軍と沖縄防衛局は基地労働者の人権を守りなさい !

ospreyfuanclub.hatenablog.com