これが沖縄の真実だ

このブログは、在日米軍基地を過重に負担させられている沖縄の現状を伝える「オスプレイ不安クラブ」が開設しました。

沖縄の政治家へ捧ぐ・沖縄県民からの提言: 「教育」を政治利用する外務省の愚策に協力するな! -  外務省による『沖縄県内の児童・生徒に米軍基地内学校編入枠を確保する案』が馬鹿げている5つの理由

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キャンプ・フォスター内の「ズケラン小学校」

http://www.kanji.okinawa.usmc.mil/Installations/foster/Images/Foster03.gif 

 

 

【外務省による沖縄『県内の日本人児童・生徒が米軍基地内学校に編入できるよう枠を確保する案』が馬鹿げている5つの理由】

 

またまた、日本政府が馬鹿な動きを始めた。

 

英語力の高い人材を育成し、若年層の進学や就業を後押し』するために、沖縄県内の日本人児童・生徒を米軍基地内の学校への編入が可能となるよう、米側に協力を求めていくというのだ。

 

共同通信の記事を琉球新報沖縄タイムスが共に転載している。

 

琉球新報沖縄米軍基地内の学校に編入枠 外相、初訪問で提案へ

2017年11月25日 05:03

    外務省は、沖縄県の米軍専用施設にあり主に米軍人・軍属の子女が通う学校に、県内の日本人児童・生徒を編入できるよう枠を確保する案の検討に入った。複数の政府関係者が24日、明らかにした。英語力の高い人材を育成し、若年層の進学や就業を後押しし、米軍普天間飛行場宜野湾市)の名護市辺野古移設などを巡って対立する政府と沖縄県との融和を図る狙いがある。

    河野太郎外相は12月1~2日の日程で就任後初めて沖縄入り。翁長雄志知事や在沖縄米軍トップのニコルソン在日米海兵隊司令官と個別に会談して、協力を求める方針だ。

共同通信

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沖縄米軍基地内の学校に編入枠 外相、初訪問で提案へ | 共同通信 ニュース | 沖縄タイムス+プラス

 

失笑する。噴飯ものだ。

 

しかし、こんな日本政府の愚策でも、興味を示す日本人がいることは間違いない。

 

今日は、そんな人たちや「人材育成」とか「英語力」いう言葉に弱い政治家に提言する。

 

まず、沖縄県の行政機関、自治体首長、県知事および市町村議会は、外務省が協力を求めても、それに応じるべきではない。

 

米軍基地内の学校は、海外に駐留する米軍人の子供のために設立されたものだ。その形態は、海外に駐在する日本人の子供が通う「日本人学校」と似ていると考えれば、理解しやすいと思う。

 

海外にある日本人学校に、現地の住民の子を通わせるという取り組みがあったとしても、はたして、それが「人材育成」なのか。

 

共同通信の記事は短く、詳細は全くわからない。しかし、外務省が教育を政治利用しているのは明らかであることから、外務省の愚策に乗り、一緒に沈む必要はない。

 

そして、外務省の提案は素晴らしい、自身の子供を米軍基地内の学校に通わせたい、と思う親たちよ。あなたがたは、沖縄県の行政機関や教育委員会をあてにせず、外務省沖縄事務所を頼るといい。沖縄県内の教育機関が、教育を政治利用する外務省の愚策に乗っかるような親を相手に、積極的に援助、強力する必要は全くないのだから。

 

これから、いかに外務省の案が馬鹿げているかという理由を5つあげる。

 

これら以外にもツッコミどころ、言いたいことは沢山あるが、とりあえず5つに絞ってみた。

 

1.  日本国は、既に小・中・高校で英語教育を行なっている

しかも、文部科学省は、『グローバル化の進展の中で、国際共通語である英語力の向上は日本の将来にとって極めて重要である。アジアの中でトップクラスの英語力を目指すべき。今後の英語教育改革においては、その基礎的・基本的な知識・技能と、それらを活用して主体的に課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等の育成は重要な課題。

 

我が国の英語教育は、現行の学習指導要領を受けた改善も見られるが、特にコミュニケーション能力の育成について更なる改善を要する課題も多い。東京オリンピックパラリンピックを迎える2020(平成32)年を見据え、小・中・高を通じた新たな英語教育改革を順次実施できるよう検討を進める。並行して、これに向けた準備期間の取組や、先取りした改革を進める。』としている。

 

 

今後の英語教育の改善・充実方策について 報告(概要)~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~:文部科学省

 

外務省は、日本国が取り組む「英語教育改革」を知らないのだろうか? 日本国の児童を米軍基地内の学校に通わせることで『英語力の高い人材を育成し、若年層の進学や就業を後押し』すると考えているならば、外務省は、文科省の方針に従って英語教育に全力で取り組む全国の教育者を馬鹿にしているも同然だ。「米軍基地内で受ける英語教育には敵わない」とでも言いたいのだろうか。

 

2.  沖縄県には、既にいくつかのインターナショナル・スクールが存在する

 

沖縄県内に住む日本人が、文部科学省が定めた「英語教育」では物足りず、全ての授業や会話を英語のみとする環境のインターナショナル・スクールに子供を通わせたいならば、わざわざ米軍基地内の学校に通わせなくとも、『英語力の高い人材を育成』は可能なのである。

沖縄県内にあるインターナショナル・スクールのほとんどはクリスチャン・スクールであるが、その中には、米軍人の子供たちが多く通う学校もある。もちろん、それらの学校ではバイブルスタディ(聖書学)があり、私学であるために授業料も高額で、一般の日本の学校と比べて規律が厳しい場合もある。

しかし、沖縄県には、宗教的な要素のない「沖縄アミークス・インターナショナル」もあるのだ。そこは、内閣府の肝いりで開校した沖縄科学技術大学院大学の創設に伴い設立されたインターナショナル・スクールである。『英語力の高い人材を育成』するために、日本人の児童を米軍基地内の学校に通わせようと提案し、沖縄県と米軍の協力を得ようとする外務省は、「英語教育」に無知である。そんな外務省の人材育成事業は、必ず失敗する。それに協力する者たちは、自身の経歴に汚点を残す覚悟でいるといい

 

www.amicus.ed.jp

 

3.  子供を米軍基地内の学校に通わせたいと考える親の英語力は、どの程度なのだろうか

 

英語で書かれた学校からの連絡事項や配布資料を理解できる英語力を有しているのだろうか。子供が課された宿題に目を通し、勉強を手伝うことが可能な英語力を有しているのだろうか。

 

幼稚園、小学校の低学年程度の内容でれば、あまり英語力がない親でも乗り切ることは可能であろう。しかし、小学校高学年、中学校、高校と学年が上がるにつれて、当然ではあるが、授業内容も英語のボキャブラリーも難しくなる。

 

英語という米国人にとっての「国語」だけではなく、当然ながら、算数、理科、社会、歴史(基地内の場合、米国史)、家庭科、体育、美術、音楽など、全てが英語である。先に述べたインターナショナル・スクールであっても、その状況は同じだ。しかし、何が違うかというと、沖縄県内のインターナショナル・スクールは私学だが、米軍基地内の学校は違う。

 

米軍基地内の学校は、米国防総省の管轄下にある。米軍人の子供に教育を提供するが、私学のように利益は追求していない。そんな学校に、生徒の親に英語力がない場合に備えて、わざわざ日本語と英語ができるスタッフを常駐させる義務はない。

 

「私は英語がよくわかりません」と困った顔をする日本人の親に対し、その親から高額の授業料を取る私学のインターナショナル・スクールと、そもそも日本人の児童を引き受ける義務がない基地内の学校とでは、対応に違いが出ることは容易に想像できる。

 

子供に英語力を…と願い、米軍基地内の学校に通わせようとする親に英語力がなければ、誰が連絡係を務めるのか。外務省が通訳を勝手出るつもりだろうか。外務省の愚策に協力すると言ってしまった自治体の教育委員会が対応するのだろうか。

 

4. 米軍人と軍属のなかで民間人が教育を受けるということ

 

たとえ、子供を米軍基地内の学校に通わせたいと考える親に英語力が備わっていたとしても、米軍基地内の学校に通う生徒の親は米軍人と軍属である。そこに、米軍とは全く関係ない沖縄県内に在住する日本人の児童が編入するとなると、その日本人の親子は、米軍社会という特殊な環境に身を置くことになる。さて、どれだけ馴染めるだろうか。

   

いくら「米軍基地内は米国である」と表現されているとしても、基地内の学校は一般の米国の自治体にある公立学校とは違う。米軍という巨大な組織の中で形成された社会に存在する学校である。当然のことながら、親である米軍人の駐留期間が終了すれば、米軍人の子である生徒は転校していく。そして、新しい生徒が転入してくるのだ。仲のいい友達ができたとしても、そのほとんどが数年で沖縄からいなくなる

 

日本人の児童が基地内の学校に通って「英語力」を身につけることができたとしても、長年付き合える友達を作ることは困難になる。自身は転校しないが、周りはどんどん入れ替わる。そんな学校生活を良しと考える親が、どれだけ日本にいるだろう。

 

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キャンプ・フォスター内の「レスター中学校」

http://www.kanji.okinawa.usmc.mil/Installations/foster/images/foster05.gif

 

さらに言えば、親の場合も似たような状況に置かれる。米軍人を配偶者に持つママ(あるいはパパ)達と、そうでない日本人のママ(あるいはパパ)達のグループに分かれることは必至だ。配偶者が米軍人でない保護者と、米軍組織にどっぷり浸かった保護者とでは物の考え方が違う。

仲良くできると思った親がいたとしても、彼らは数年で転勤する。

 

そして、新しく沖縄に派遣された米軍人の親たちが、基地内の学校に「日本国の外務省が設けた特別枠」で通学することになった日本人児童とその親たちに理解を示すとは限らない。

 

なぜならば、沖縄に派遣された米軍人の子供は確実に基地内の学校に通えるが、一部の軍属やその子供の場合は、空きがないと転入できないとい場合があるうえ、授業料を課せられることもある。しかも、転入できる基準と優先順位がきちんと決まっているのだ。「日本国の外務省が設けた特別枠」がなければ、わが子が通えるはずだが?と考える軍属たちが出てくる可能性は充分考えられる。

 

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キャンプ・フォスター内の「クバサキ高校」

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一応、現在でも米軍基地司令官または米国防総省の許可が下りれば、地元の児童や第三国の国籍を持つ児童を受け入れる制度はあるようだが、その優先順位は最下位である。今年度は空きがあるから編入可能と判断されたとしても、次年度はそうとも限らない。そんな不安定な状況下に子供を置くことが人材育成だろうか。

 

そして、現行の場合でも、米国に対する親子の感情や政治観、様々な個人情報を提供した上で編入の合否が判断されることになるようだが、外務省が設けたいという枠ができたとしても、その規定は変わらないと思う。沖縄県内の政治状況を鑑みると、米軍はより厳しい審査をするだろう。そんな難儀をしてまで、米軍基地内の学校に子供を通わせるだけの価値があるのだろうか

 

米軍は、広報活動で地元住民との交流やボランティア活動を通してフレンドリーをアピールするが、沖縄に駐留する米軍人とその家族全員がフレンドリーではない。

 

外務省の愚策に乗っかり、子供に英語力を!と考え、基地内の学校に子供を編入させたあとで、想像していたフレンドリーな環境とは違う、こんなはずではなかった…と嘆く状況に陥ったとき、日本国の外務省が面倒をみてくれるとは思えないが・・。

 

5.  米軍基地内で教わった教科は、取得した単位は、日本国の高校や大学で通用するのか

 

上の4つをクリアしたとしても、まだ安心はできない。米軍基地内で教わった教科は、取得した単位は、日本国の高校や大学で通用するものだろうか

 

当たり前だが、米軍基地内の学校に通うほとんどの生徒が米国籍を有している。将来、彼らのほとんどが米本国で進学、就職することになる。しかし、外務省の愚策に乗っかった日本人の子供たちの場合はどうだろう。基地内の学校を卒業した後は、外国に留学するつもりなのだろうか。

 

米軍基地内での教育が日本社会で通用するとは思えない。英語力は身についたとしても、日本語力がおろそかでは、日本の企業で就職できるわけがない英語力があり、日本語は喋れるが、漢字を書けない、読めない。そんな人材を企業が求めるわけがない。

 

河野外務大臣の英語力は素晴らしいものかもしれないが、それはどこで身に付けた英語力であろうか?

 

河野外務大臣も米軍基地内の学校へ通い英語力を高めたのだろうか?

 

外務省の職員は、どうだろう。皆、インターナショナル・スクールや米軍基地内の学校を卒業して語学力を身に付け、今の職に就いたのか?

 

いや、違う。

 

河野外務大臣においては、日本国の小・中・高校を卒業し、その後、日本の大学に入学、そして渡米、米国の大学に進学している。

 

河野外務大臣の華麗なる学歴(抜粋)

1975年3月 平塚市立花水小学校卒業 <ボーイスカウト平塚第5団所属>
1978年3月 慶応義塾中等部卒業 <競走部主将を務める>
1981年3月 慶応義塾高校卒業 <競走部主将を務める>
1981年4月 慶応義塾大学 経済学部入学
1982年9月 ジョージタウン大学
入学 比較政治学専攻
1983年 カリフォルニア州選出クランストン上院議員民主党)の大統領選対である「Cranston for’84」にボランティアとして参加
1984アラバマ州選出シェルビー下院議員(民主党)議会事務所でインターンをつとめる <シェルビー議員は現在、共和党上院議員>
1984年8月 ポーランド中央計画統計大学(ワルシャワ市)へ留学
1985年12月 米国ジョージタウン大学卒業

 

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プロフィール | 衆議院議員 河野太郎公式サイト

 

そう、河野外務大臣は、米国の大学へ入学できるほどの英語力を日本国の教育を受けながら身に付けたのだ。幼少期から英会話スクールに通ったり、英語を話す人びととの交流はあったのかもしれない。

 

だが、米軍基地内の学校に通うことで『英語力の高い人材』となり、外務大臣にまで登りつめたのではない。

 

日本は学歴社会だ。河野外務大臣の学歴を見れば、それがよくわかる。海外では問わないだろうが、日本の履歴書には中学、高校名を記述する。それは、日本の義務教育が中学校までという事情があるからだろう。

 

外務省の愚策に乗っかった親の子は、履歴書に米軍基地内の学校名を記述するつもりだろうか。「お受験」をして実力で入学/編入できたわけでもなく、外務省が米軍にお願いして設けた特別枠で入ったという事実が一生涯つきまとう。米軍基地内の学校が、学歴にしたいほどの有名校だとは到底思えない。

 

以上が外務省の案を愚策とした理由だ。

それらを読んでも外務省の案に乗っかる大人は、

『日本国の英語教育に関する方針に無知な大人』、

『英語力(または語学力)が何であるかを全く理解できない大人』、

『英語ができる=国際人と考える、恥ずかしい大人』と言える。

 

もし、あなたの周辺に、わが子を米軍基地内の学校に編入させるという外務省の愚策に興味を示す人がいるとしたら、上で述べた5つの理由を提示して『やめておいた方がいいよ』と、言ってあげるといい。子供の学校生活、将来の進路がメチャクチャになったとしても、外務省が責任を取るわけないのだから。

 

そして、最後にもう一度言う。沖縄県の行政機関、自治体首長、県知事および市町村議会は、教育を政治利用する外務省の愚策に、絶対に協力すべきではない!

 

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【今回の提言:「外務省の愚策に協力するな!」のまとめ】

● 外務省が日本人子女の英語力を高めるために、米軍基地内の学校に通わせようという提案は、文科省の英語教育改革とそれに取り組む教育者らを馬鹿にしているものである。

●  外務省は、内閣府の肝いりで設立された沖縄科学技術大学院大学の整備事業の一環として開校したインターナショナル・スクールよりも、米軍基地内で授業を受けたほうが英語力が高い人材が育つと考える、米軍万歳省である。

●  外務省は、教育を政治利用する省である。